6Feb
たくさんの人生が交錯し、そして別れゆく国際空港。
雪の舞うデトロイトのターミナルで、フロリダの夕陽に思いを馳せます。。。
冬のデトロイトにて
皆さんこんにちは、ディープストリームのKenD(けんでぃ)です。
長らくお送りしてきましたバスマスター参戦記、お楽しみ頂けましたでしょうか。
現地で仕入れた面白い話はまだまだたくさんありますので、帰国後も折をみてシェアして行きたいと思います。
さて今私は空港で、帰国する飛行機の乗り継ぎを待ちながらこの記事を書いています。
北部・デトロイトの冬は厳しく、灰色の空から絶え間なく雪が・・・。
遠くで動く作業車や信号灯の灯りが、時節ぼんやりと霞んで見えます。
私は以前から空港、それも国際空港で行き交う人々を眺めるのが好きです。
多種多様な人々が背負った、たくさんの人生たちが一瞬だけ交錯し、そしておそらく二度と出会う事は無い。
一期一会の旅の交差点に、どんな物語が集っては別れるのだろうと空想はどこまでも広がります。
今回多くの方々のご厚意とアドバイスに助けられ、ついに夢だった舞台を見て来られた事には本当に感謝しかありません。
しかし今の気持ちは充実感や達成感といったものだけでシンプルに語れるものではなく、何かスッキリとしない違和感が胸のうちにうごめいているのです。
アメリカのバスフィッシング、そしてBassmasterトーナメントが期待外れだったと言うわけでは決してありません。
むしろ逆で、その盛り上がりや華やかさ、豊かなフィールドを舞台にした壮大なスケール感は、想像を超える素晴らしいものでした。
一生かかっても釣り切れない様な広大な釣り場を前に、「今度はあの場所をこんな風に攻めたらどうだろう?」と、色々なインスピレーションがあふれ出て止まりません。
“本場のバスフィッシング”とはよく使われる表現ですが、その魅力と興奮の前に、熱病に浮かされてしまったような気分がしています。
ところがそんな輝く舞台を目の当たりにして、私の心にわき上がってきたものは言い知れない寂しさでした。
あまりにも色鮮やかで情熱的なフロリダを後にして、自分はもう日本で待つ現実の下に帰らなければならない。
ボーターでも無ければ米国籍すらない今の自分には、そこに全力でトライする事はできないのです。
出来ることならばここで全てを捨てて、アメリカの大地に骨を埋めてしまいたい・・・。
決して叶う事の無い妄想をしながら、どこまでも憂鬱に広がるデトロイトの空を眺めるしかない、小さな自分が悲しくてたまりません。
しかしもう、祭りは終わったのです。
ひょっとするとアメリカのトーナメントシーンは、自分にとって劇的過ぎる麻薬のような存在だったのかもしれません。
フルサイズのバスボートを駆り、夢を追って大陸を駆け回る現地のアングラーたちの姿は、直視出来ないほど眩しく映りました。
もし今時計の針を戻して、米国に生まれる事を選べたなら、自分にもそんな人生があり得ただろうか・・・。
無意味だと分かり切っているのに、そんな空想が次から次へと溢れ出して止められません。
そしてそんな想いが1つ沸き上がるたびに現実の自分が卑小に、そしてこれまで取り組んで来た事が些末な事だったように思えて来てしまいます。
こんな事を書くのは本当に失礼極まりないと分かってはいるのですが、もしかしたら私はあの舞台を知らない方が良かったのかもしれない・・・。
そんな気持ちが心の隅に芽生えているのを、どうしても否定する事ができないのです。
多くの方々のご協力を頂いてやっと実現した旅の最後に、このようなとりとめのない事を書いてしまい本当に申し訳ありません。
何か今ちょっと気持ちがおかしくなっているのかもしれず、この記事は後で消す事になるかもしれません。
今はただ脳裏に焼き付いた、もう明日からは見る事の叶わない、フロリダに沈む夕陽をひたすらに想っています。
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コメント
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2018年 2月 07日
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2018年 3月 02日
いつも楽しく読ませてもらってます
私も10年以上前ですがUS openやFLWの下部カテゴリーのコアングラーとして何戦か参戦し今のken dさんと全く同じ気持ちになり日本に帰ってきてからバス釣りから完全に離れてしまいました。
あまりの環境の差にある意味ヌケガラのような気持ちになるのはよ〜くわかります。
最近の参戦記は自分も同じ事してたので懐かしく読んでいましたが、この記事の心境があまりにも自分が昔感じた事と同じだったのでコメントしました。
もしかしたらUSトーナメントを肌で感じた事がある人は同じ気持ちになるのかもしれませんね。
今はとても貴重で大切な思い出になっています。
今はひょんな事から釣りを再開してバス一本ではなくシーバス、トラウト、青物などなどマルチに釣りを楽しんでいます。
結局トラウト釣りにパタゴニアやニュージーランドに行きたいなーなんて願望が出てきてバスの時と結局同じ道を辿っています笑
釣りをしてたからこそ出会えた景色や人って素晴らしいものがあるし海外釣行ってある意味それの究極というか。
帰国直後は明日のジョー状態になっちゃいますよね笑
これからも記事楽しみにしています。
いつもお読み頂きありがとうございます!
そのようなご経験をされてきた大先輩からのコメント、本当に感激です。。。
あの熱量とこの抜け殻感に共感頂けることを、心から嬉しく思います。
たとえ明日のジョーになっても(笑)、またいつかあの景色を見たい!
これからも頑張っていきますので、今後ともなにとぞよろしくお願いします。
早い段階で日本で成功して、不労所得を手に入れて、フロリダへGO!
何なら家族もつれて移住。
・・・すみません。でも応援してます。
いえいえありがとうございます、そうなんですそれが理想です(笑)!!
これからも何とか悪あがきして頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします!
KenDさん、今回のエントリー、いつにも増して心の動きが生々しく嘔吐されていてとても読み応えがありました。
自分もアメリカに音楽の夢を追い求め二年間住んで居たのでその気持ち痛いほどわかります。(現在は日本に居ます。)
そして今KenDさんの心に芽生えてしまった狂気的な感情を綴ったブログを読んで、イギリスの文豪サマセットモームの小説で画家ゴーギャンの一生を描いた「月と六ペンス」の主人公を思い出しました笑。
突然脱サラをして家族を捨て友を裏切りあらゆる恩を仇で返し画家として成功し破滅して行く生き様です(いやいやKenDさんそんなことしてないですよね、ただ突発的な衝動に駆られ苦しむ様が重なりました)、おそらくここで全てを捨ててしまうかどうかが大きな分かれ道、、、、、、笑 悪魔が手を拱いて居ますね〜 妄想が膨らみすぎました失礼。
しかし、多くの人が感じることの出来ない魂を揺さぶられるような体験を産地直送で届けていただいて本当に感謝です。しかも我々の共通ライフワークの釣りを通して。何も出来ませんがKenDさんの人生がどんな形であれこれからも充実して行くことを応援してます!
長文失礼、素敵なブログいつもありがとうございます!
Dream Goes On !!
熱いコメントありがとうございました!
それが釣りであれ音楽であれ、あの大陸に夢を求めると同じ心持ちに行き着くのでしょうかね・・・。
いえいえ私はゴーギャンにはならない・・・はずですが、離婚届を突き付けられる危険性は十二分にあります(苦笑)。
これからも体当たりの記事をUPして行きたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします!
初めてコメント致します。
いつも楽しく読ませて頂いております。
kenDさんのブログはとても読みやすい文体ですね、小説家を目指しておられた時のスキルが存分に注ぎ込まれていると感じます。
今回のバスマスターオープンへの参戦は、心が震えました。
現地からも複数のブログをあげられておられましたが、僕はこのブログが一番だと感じました。
人は “事実” だけを伝えられても満足出来ない。
その時にどう感じたのか? その心情を知りたいのだ!
文学白熱教室で、カズオ・イシグロはそう言っていました。
フロリダでバスマスターオープンに出場して、何ポンドで何位でした。
そのような事実だけでは、満足出来ないのです。
読み手側の勝手な思いなのですが、kenDさんには どう感じて どういう心情だったのか この辺りを 豊富なボキャブラリーで文章に出来るスキルがあります。
今回のアメリカ遠征を終えての、kenDさんの心の振れ幅はブログの文章よりも もっともっと広かったのではと想像します。
たぶん、一つの気持ちを表現される時も行く通りもの言葉の中からブログという現代の立ち位置を考慮し、お世話になった方に配慮し決定されたのだと感じました。
動画全盛の時代ですが、僕は活字の、文章の力に魅了されます。
勝手な事ばかりダラダラと書いてしまいましたが、これからもkenDさんの活躍と、ブログを楽しみにしております。
いつもお読み頂きありがとうございます!
お恥ずかしい過去をご記憶頂き、恐縮です・・・(;^ω^)
特に意識していなかった事もあるのですが、こうしてkuniさんにあらためてご指摘頂くと、なるほどなぁと納得です。
私も活字好きな人間(というよりも自分が動画に出るのが恥ずかしいw)なので、楽しんで書き続けていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願い致します!