18Apr
年々巨大化が進行する琵琶湖。
ビッグフィッシュの正体は、幻の“3倍体”なのか!?
都市伝説の真相と、意外な歴史をシェアします。。。
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“3倍体”って何???
皆さんこんにちは、デイープストリームのKenD(けんでぃ)です。
今年もロクマルが炸裂しまくっているという琵琶湖。
個人的には、年々魚のサイズが上がっているように思えてなりません。
そんな世界一のビッグバスレイクと呼んでも過言では無い琵琶湖ですが、この話には決まってある噂が付きまとってきます。
それが「3倍体ブラックバス説」・・・かつて滋賀県の水産試験場で作られた、特殊な遺伝子を持つ魚が巨大化したのではないかというのです。
情報源に乏しいだけに、それは未だ真偽の判然としない都市伝説のようになっているのではないでしょうか。
(村田基さんも仰られていますね。。。)
私としては眉唾に思っていたものの、水産関係の知識が無いので何とも言えず・・・。
というわけで少し調べてみると、実は3倍体の魚というのは意外と簡単に作れるようなのです。
受精卵をぬるま湯につけると変化がおき、通常の2組以外にもう1組、計3組の染色体をもった魚が生まれる・・・という技術が魚種によっては確立しているのだという事です。
(子ども水産大学より。それがバスでも簡単に出来るのかどうかまでは分かりませんが・・・)
こうして生まれた3倍体魚は成熟しないため、卵を産めなくなるとの事。
産卵で栄養を消費する事が無いので、その分体が大きくなるのだとか・・・。
この技術を用いた「飛騨大天女魚」という品種が売られているのだそうですが、何と通常のヤマメに比べて10倍以上も大きくなるのだそうです。
「琵琶バス」秘話
さて3倍体のバスを作るという事自体は、技術的にはさほど困難では無さそうだという事は分かりました。
しかしそんな品種を、わざわざ水産試験場で作る動機があるのだろうか?と言うのが次の疑問になります。
ですから卵を産まない魚を作ることで、駆除の役に立てようとしたのではといった様々な憶測が流れている事と思います。
ところがこれについて調べていたところ、ある意外な記事に行き当たりました。
今から30年近く前、何と滋賀県ではバスを水産資源として活かすため、公募までして「ビワバス」と愛称をつけていたとの事・・・。
つまり水産業振興の為に、巨大バスを人工的に育成する実験をしていたのだというのです。
近年釣れている60cm・70cmオーバーのビックサイズのバスが今後も釣れるか否かについて、私なりの推測があります。
巨大なバスはフロリダバスや、その混血バスであると一般には言われていますが、私はそうだとは思っていません。 確かに池原ダムのバスはフロリダバスの血が入っていますが、全国的・特に琵琶湖で釣れている巨大バスの殆どはフロリダバスの血が入っているとは思っていません。 真実かどうかは断言できませんが、巨大バスの正体はいわゆる三倍体の類と思っています。
今から15年位前に、滋賀県のの水産試験場がバスの三倍体を作って琵琶湖に放流しているという噂がありました。 その頃、店のお客さんから「滋賀県の水産試験場に勤務する親戚がおり、バスの三倍体の実験をしているという話を聞いた事がある」と聞かされた記憶があります。 当時はまだ外来魚として駆除する等の世論は少なく、逆に資産資源としてバスを利用しようという風潮がありました。 琵琶湖周辺の方がバスの事を「ビワバス」と言うのを聞いた事はありませんか? この「ビワバス」という呼び名はブラックバスではイメージが悪いので、20年位前に滋賀県が一般公募して付けた愛称です。 当時は水産試験場前等に「愛称はビワバスに決定しました」とい垂れ幕まで設置し、新聞報道までされました。 その写真は所蔵している当時の釣り雑誌にも掲載されています。 バスは滋賀県一部の学校給食にも使われ、JR草津駅では「ビワバス弁当」なる物まで販売されていたと聞き及んでいます。 現在も某大手コンビニの弁当に入っている白身魚フライにはバスの身が使われる事があり、バスの身を使った時は通常の白身魚(おそらく北洋に生息するオヒョウの冷凍)より美味しいというアンケート結果が出ているので常時使いたいが、バスは安定的に供給されないのが問題だ聞いた事があります。 となれば、水産産業振興の為に巨大バスを人工的に育成する実験をしていたとしても、まんざらウソや噂ではないのではと思えるのですが、皆さんはどの様に考えますか?
バスの寿命は概ね14年位で、バスは死ぬまで成長を続けるそうです。 もし15年位前にバスの三倍体の放流実験を数年間続けていたと仮定すると、そのバスはそろそろ寿命であると同時に最大限まで成長している事になります。 私は、これが琵琶湖の巨大バスの正体であり、その一部が稚アユやヘラブナの放流に混ざって全国に広まったのではないかと考えています。 その為に、ここ数年間が全国的な巨大バスのピークであったと思うのです。 ただ、ピークを過ぎれば三倍体の巨大バスは死滅して居なくなる事になります。
遺伝子を操作された三倍体は通常生殖能力がありません。 つまり卵を産まないので、卵となる養分が全て身になって大型化するそうです。 卵を産まないという事は子孫を作らない一代限りの個体なので、その血筋は絶えてやがて絶滅する事になります。 中には生殖能力を持つ個体も現れるでしょうが、産卵する為に巨大化はしないでしょう。 ノーザンラージマウスバスと亜種であるフロリダバスを混血させると生殖能力のない一代限りの巨大バスが生まれるが、生殖能力を持って生まれた個体は本種であるノーザンラージマウス化して大きくならないそうです。 この為、純粋なフロリダバスが居なくなると巨大バスも生まれなくなります。 フロリダの様な温暖で水深の浅い場所と異なる池原ダムではフロリダバスの純血種同士が交配して繁殖する確率が極めて低いので、純潔フロリダバスが居なくなってくるのに伴って巨大バスが減ってしまったのが、現在の池原ダムの現状でしょう。 それと同じ様な減少が琵琶湖等でも起きると考えられます。
何年か前に琵琶湖博物館学術研究員が、「琵琶湖南湖の40cm以上のバス8割(確か・・・)の遺伝子が、その頃より10年前の琵琶湖のバスと異なる遺伝子を持っていると」という調査結果を発表した新聞報道がありました。 その学術研究員は池原ダムのフロリダバスとは異なる遺伝子なので、誰かが大量のフロリダバスを放流した可能性があるとしていましたが、南湖のバスの8割が混血する量を考えると国家的プロジェクトの放流でもなければ無理なので、現実的な話ではない。 しかし、何年にも渡り三倍体の稚魚を何万尾も放流実験し、その内の生殖能力を持つ個体が繁殖したり在来の個体と交配したならば、その可能性も高いのではないだろうか・・・?
池原ダムでは、数は少なくなったが今でも60cm・70cmのバスが存在する。 これはフロリダバスの遺伝子を受け継いだ生殖能力のあるバス同士が交配し、偶然に先祖戻りの様に生殖能力の無い個体が時折産まれているのではないかと思っている。 という事は、琵琶湖等でも今後も巨大バスが産まれる可能性は十分にある事になる。 ただ、生殖能力がなくて巨大化する個体が産まれる確率は未知数であり、産まれたとしても自然界では一つの産卵床から成魚になれる確率は3尾と言われるので、巨大バスが激減する事は間違いないと思う。 もし60cm・70cmを釣り上げたいと思う方々であれば、あと数年がチャンスであり、それ以後は極めて確率が下がると予想している。 ハッキリ言ってもう遅いかもしれない位だと思えるので、狙う方は今年頑張って頂きたい。
(バス・ストップさんの2010年1月22日の記事より引用させて頂きました)
30年前に幼稚園児だった私としては、まさかバスを資源として活用する動きがあったというのは非常に驚きでした。
この「ビワバス」に関しては他の方も記事に書かれており、どうもそう言った愛称が付けられていたというのは事実の模様・・・。
それが一転して今のような状況に至ってしまった事に対しては、胸が苦しくなるような思いです。
巨大バスは本当に3倍体なのか?
しかし私自身は、今釣れている琵琶湖のビッグバスが3倍体だとはなかなか思えないでいます。
その理由の1つ目は「絶対数」にあります。
一体一日に何匹の55UP、60UPが釣れているのか分かりませんが、琵琶湖の北から南まで、色々なところで大量の巨バスが毎日水揚げされています。
あの壮大なスケールの湖の隅々で釣れるという事は、一体どれほど大量の魚を放流しなければいけないのか見当もつきません。
もちろん1年や2年の話では到底無理でしょうから、かなりの長期間に渡って大規模に行わなければ実現は不可能だと思うのです。
それから2つ目の理由は、「3倍体にしては小さい」のではないかという所にあります。
ジョージ・ペリーが1932年に釣り上げたビッグバスは(現時点で)世界記録タイになっていますが、つまりバスというのは自然状態でもそれぐらいの大きさになり得る魚だといえると思います。
(それ以外にも、アメリカでは何本も20lbクラスの魚がキャッチされているそうです)
しかし通常80g程度のヤマメに対して、3倍体のヤマメが1~2kgになる・・・という話から考えると、もっと大きくなっても良い気がするのですがいかがなものでしょうか?
そして最後に、上で紹介させて頂いたバスストップさんの記事がすでに10年近く前のお話だという事もあります。
記事中では3倍体のバスが放流されたであろう時期が約15年前と推定されており、寿命を考えるともう死滅してしまうのではないかと・・・。
しかし2018年となった今、さらに多くのロクマルが釣れている事は皆様ご存知の通り。
こうした理由から、個人的には3倍体説を積極的に信じる気にはなれない次第です。
じゃあなぜ琵琶湖のバスはあんなに大きいのか?というお話については、また機会をあらためて書いてみたいと思いますが・・・。
この辺りの話にさらにお詳しい方がいらっしゃれば、ぜひ色々と教えて頂きたいと思っております。
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コメント
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2018年 5月 04日
私も三倍体説は素直に信じてはいません。
九州の壱岐島や愛媛県の佐田岬には50センチを超える、いわゆる「ギガアジ」なるアジが生息するのですが、それらのアジは生物学的には普通のマアジ(大きくて30センチほど)と全くの同一種だそうです。
愛媛県で漁師をやっている友人に聞いたところ、巨大化する理由については、食べる餌や水温、地形の関係ではないか?との事でした。
もしかしたら琵琶湖の地形や生態系そのものがバスを巨大化させている要因なのかもしれません。
コメントありがとうございます!
遺伝子的に同じ種でも、棲む環境によって全然大きさが違ってきてしまうというのはありますよね・・・。
私もその類の話ではないかと考えており、またその辺りについて書いてみたいと思います。
それでは今後ともよろしくお願いします(^^♪
初めてコメント差し上げます。
いつもdeep stream様を楽しく拝見させて頂いています。釣りに対するアツい気持ちとマニアックな記事がとても興味深く、深い造詣に毎回感銘を受けております。
今回の記事ですが、少年時代にバスブーム絶頂期を琵琶湖の周辺で過ごし、学生時代に少しだけ水産をかじりましたので思わず書き込みしたくなりました。
ビワバスという名前も記憶にあります。
魚の3倍体は養殖技術としてはメジャーなものですね。エリアトラウトでの大物は大体が3倍体のニジマスです。
記事で触れられている通り3倍体の魚は生殖能力がありません。
ということは、3倍体のバスはプリスポーンしないはずです(全くしないというわけではないかもしれませんが…包卵しても受精しないとかもあるかもしれませんが、生殖器は普通の魚に比べ、とても小さいはずです)。
私自身は関東に引っ越してもう20年近くになるので、最近の琵琶湖のバス釣り事情には明るくないのですが、50、60センチのバスはプリスポーンしているのでしょうか。
確かめるなら今年は今がラストチャンスですね笑
私自身は3倍体説には懐疑的です。今の私には確かめる術はありませんが…。
私が琵琶湖でバス釣りをしていた時代は2000年前後になりますが、当時は数はいれどスレが進み、80年代の50アップがたくさん釣れた時代が過ぎてパラダイスが終わった、と言われていました。
今ほどタックルが進化していない時代、特に魚探性能は大きく劣っていたと思いますので、単純比較はできませんが、バスプロが台頭した時期なのでロクマルもいれば幾らかは話題になったと思います。当時はロクマルは池原ダムの方が有名でしたね。
逆に言えば書かれている通り、3倍体の放流がなくても60センチまでは普通の2倍体のバスでも成長するのでしょう。
南米パタゴニアの湖では降海しなくても3倍体でなくてもニジマスがメーター級になるそうなので、環境要素が強いのではないかと思われます。
私はむしろ子バスが減っている方が恐いです。
2000年当時は3インチサターンワームのウォーターメロンの常吉リグ(敢えてダウンショットとは書きません笑)で子バスがイージーに釣れました。ウィードにエビがいっぱいいて、それを食べていた子バスにはマッチザベイトしていたらしいです。
子バスがいなくなったのであれば、むしろ湖産エビが減って、ある程度大きなベイトフィッシュを食べられる個体ばかりが生き残っている可能性もあり、エビという食物連鎖の底辺を担う重要な生き物が減ってしまっているとなると琵琶湖は危機的な状況が懸念されます。
思い過ごしなら良いのですが。
長々と書いてしまいましたが、これからも熱い記事を送り続けるkenDさんを応援しています。
追伸
以前、ボートシーバス向けにグラススピニングロッドの記事を書かれていましたが、私はテイルウォークのナマズロッド、ナマゾンのスピニングを推します笑
おかっぱりばかりでボートシーバスしないので買いませんでしたが、店頭で触った限りでは専用ロッドよりベストマッチな雰囲気でした。
熱いコメントありがとうございました(^^)!
水産に造詣の深い方からのコメント、大変貴重で嬉しく思います。
大きなエリアトラウトが3倍体というのも初めて知りました・・・。
3倍体は生殖能力が無いという事ですが、基本的にはプリスポーンの状態にもならない(抱卵しない)という事なのでしょうか?
という事はネストも作らなさそうに思えますが、実際にはロクマル級のビッグバスがネストを作っているのは(特に北湖なら)普通に見かけられると思います。
であればやはり天然物(?)か???と余計に思えてきました(笑)。
確かにパタゴニアのモンスターレインボーの例もありますので、種が同じでも環境要因が大きいのでしょうね・・・。
いずれにせよ私も、琵琶湖におけるミドルサイズの現象を危惧している次第です。
ともあれ、今後ともまたぜひ色々教えて下さい(^^♪
ナマゾンというのは意外な選択肢でしたが、今度ぜひチェックしてみます!!
三倍体として考えた場合、近年の気温上昇で産卵期の水温が高いのではと思う部分がありますね
詳しくはないので憶測です
水温で三倍体ができるのなら 普通と三倍体の間がいたりして?
コメントありがとうございます!
なるほど、3倍体が自然発生すると!?
斬新なアイディアですが、水中の事は本当に未知な部分が多いですよね(^^)♪
どこかで読んだ話ですが、植物に比べて動物の倍数体が少ないのは、
神経細胞の数が変わらないのに体が大きくなるから動きが鈍くて頭が悪くなるからだとか言っていました。
ホントかどうかは知らない、というか書いている人も与太話のつもりで書いていたような記憶がありますが、
確かにそんなような実験結果もあるようです。
http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=213675
この研究に関してはどこまで検証されているかは調べていませんが、
モデル生物のアフリカツメガエルなどでは倍数体の動物の研究も進んでいるようなので、
探せば何か出てくるかもしれません。
あと、すでに書かれていますが、3倍体は卵巣が発達しません。
4倍体なら生殖可能ですが、そんなもの見つかったら大発見ですね。
興味深い情報、ありがとうございます(^^♪
実験結果の方も大変面白いですね・・・。
しかし魚でも驚きなのに、植物はさらに多いとはビックリです!
初めまして、三倍体バスの研究。
1991年発刊の「BASS CLUB」という雑誌(週刊釣りサンデー別冊)の94ページに記載されてます。
大まかな内容として抜粋します。
「琵琶湖でのバスが湖に住む生物に与える影響の問題で、対策の一環として滋賀県水試が1991年からスタートさせた三倍体バスの研究」
「繁殖能力のない三倍体バスを使って、琵琶湖バスの資源量をコントロールしようというアイデアは滋賀県水試の桑村邦彦主任技師を中心とする研究グループから出されたもので、繁殖能力のない魚を大量に放流することによってバスの繁殖を抑制することが狙い」
「現実問題としてそれほど大量のバスを放流することが認められるかどうかも現段階ではわからない」
「さらに三倍体バスの研究自体、これからスタートするところで、実用化できるかどうかも今後の研究にかかっている」
「この研究は、水産庁からの委託事業、外来魚対策検討委託事業の中の資源抑制実験事業の一つとして進められることになった」
「滋賀県水試の桑村さんによると、いかなる手段を講じたとしても琵琶湖からバスを完全に駆逐することは不可能で、いろいろな研究は、人為的にバスの数をコントロールすることが目的だという」
以上、簡単ではありますが参考までにコメントさせていただきました。
情報ありがとうございました!
「水産庁からの委託事業、外来魚対策検討委託事業の中の資源抑制実験事業の一つ」
だったというのはちょっと衝撃です。。。
大変勉強になるコメント本当に感謝いたします<(_ _)>
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