アメリカBASSトーナメント参戦を目指すアマチュアバサー、KenD(けんでぃ)の奮戦記をお送りします。。。

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:[D] オールソリッドの謎 -2- リフティング性能の”3要素”

魚を暴れさせる事無く、素早く浮かせる“リフティング性能”
しかしその正体は、単純な反発力だけでは語れない
“トルク”等と呼ばれるそのメカニズムを考えます。

notice : Please select your language and translate by “Google Translator”on the sidebar(or selectbox below).Thank you!

リフティング性能の正体

皆さんこんにちは、ディープストリームのKenD(けんでぃ)です。
マニアックな皆様方に、密かに注目(?)頂いている「オールソリッド特集」
期待が大きくてなかなか筆が進められなくなっておりますが(苦笑)、頑張って続きを書いてみたいと思います。
プロの方々にとってはお目汚しかもしれませんが、アドバイス・批評・叱咤激励等お待ち申し上げております。

さて、ではなぜオールソリッドロッドは「魚が勝手に浮いてくる(≒リフティング性能が高い≒トルクがある)」のか?という今回のテーマ。
端的に結論をお話しようと思っていたのですが、その前に1つ前置きを書いておかなければならない事に気が付きました。
それはそもそも、“リフティング性能”とは何なのか?という事です。

 

“反発力の絶対値”では無い

まずここでは「リフティング性能が高い」ということの意味を、「実釣時に魚を素早く浮かせ、キャッチできる事」と定義したいと思います。
だとするとリフティング性能というのは、単にブランクの反発力の絶対値では無いと私は考えています。
もちろん反発力も重要だと思いますが、魚というのは強く引っ張るほど激しく抵抗する習性があると思うからです。

ですから高弾性なロッドと伸びの少ないPEラインで、「ガツン」と掛けると魚は猛烈に暴れまわります。
逆にグラスロッドとナイロンラインを用いれば、まるで魚が釣られた事に気付かないかのうように足元まで寄ってくる事も。
すなわち魚を暴れさせずに速やかにリフトするためには、強く素早い負荷を掛けるべきでは無いという事が言えると思います。

つまり魚を浮かせるためには反発力の”絶対値だけで無く、反発の”速度が極めて重要になる・・・。
同じ負荷を瞬発的に掛けるのではなく、じわっとゆっくり掛け続けることによって、魚を気付かないうちにリフトさせることが出来ると思うのです。
これがいわゆる「魚が勝手に浮いてくる」、「ぬぅっとゆっくり上がってくる」といった感覚に繋がるのではないでしょうか。

 

リフティングスピードと弾性率

ここまでの仮説に基づくと、いかにしてリフティングパワーをゆっくりと長く掛け続けるかが重要な課題となってきます。
そしてそれを最も簡単に実現する方法は、前回も書いた「素材の低弾性化」ではないでしょうか。
トン数の低いカーボンやグラスを使う事で、ゆっくりと負荷を掛け続ける事が出来るのではないかと思うのです。

また低弾性素材は、数値の上では反発力の絶対値で高弾性素材に劣るものの、実釣時のリフティングパワーは意外と出ているのではと思う事もあります。
なぜならロッドの戻りが遅いので、魚がダッシュした際にブランクが反発せずに大きく曲がり込む事になるからです。
ですから同じだけ曲げたら反発力は低いはずですが、実際には同じ魚に対してより深くベンドするので、実釣時のリフティングパワーは高弾性素材に遜色ない・・・という事も実際には起こっているのではないでしょうか。

 

リフティングパワーの”連続性”とテーパー

そしてゆっくりと長く魚にドラッグ(抵抗)を掛け続けるためには、リフティングパワーの”連続性も極めて大切だと思います。
実はロッドと言うのは曲がり方に「段」のあるものが多く、ブランクが戻る際にある時点で負荷が抜ける事が多々あると考えています。
つまり連続的に負荷を掛け続け、リフティングパワーを絶え間なく魚に伝えるテーパー(アクション)設計がキモになってくるのではないでしょうか。

(画像は「黒田健史のいろはにほへと」より。こちらの記事↓もぜひ一度読んでみて下さい)

ではそれは一体どんなテーパーなのか?というと、一言で言えばいわゆる「プログレッシブなテーパー」というものだと思います。
それはまずティップが素早く入り、負荷に応じてベリーがしなやかに追従し、さらに曲げこめばバットへと淀みなくベンドしていく・・・という段の無い曲がり方の事。
つまり低負荷ではファスト中負荷ではレギュラー高負荷ではスローへと継ぎ目無く曲がり込んでいく連続的なテーパーは、逆に曲がり戻る時もドラッグが抜けることなくテンションを掛け続ける事が出来ると思うのです。

ところで私も大好きなワイルドサイドシリーズは「トルクが高い」事で定評を得ていると思いますが、その秘密はこのテーパー設計にあるのではないかと考えています。
カタログ上は大体どれも「ミディアムファーストアクション」と表記されていますが、リグの操作時はファストテーパー、フッキングやファイト時はレギュラー~スローへと大きく曲がり込むのがこのシリーズの特徴。
アラミド繊維といった特殊素材の恩恵もあるかもしれませんが、実はこの連続的なテーパー設計が高いリフト性能の源泉なのではないかという気がするのです。

WSC72MHでのフッキングシーン。非常に良く曲がっているのが見て取れると思います)

※注:なお、これらは完全に私の個人的な推測であり、レジットデザインの中の人に聞いた話・・・とかではありません。
たまに私をレジットのプロスタッフ(?)と勘違いされる方がいらっしゃいますが、そうではありませんのでここでお断りしておきます。

ただしこういうロッドアクションを、実はチューブラー素材で実現するのは非常に難しいのだそうです。
そこにはガイドセッティングを始めとして、ブランクの焼き方から色々とノウハウがあるようで、私には完全に未知の世界です。
しかしこれはすでに黒田健史プロが指摘されている事ですが、フルソリッドであればそうした連続的なテーパーを容易に実現しやすいのだという事です。

(上の図のように、チューブラーにはロッドの“腰”が出来やすいのだとか・・・。目から鱗なのでぜひ3回くらい読み直してみて下さい↓)

フルソリッドロッドその2.

 

パワー・スピード・連続性

長くなってしまいましたので、ここでいったんまとめましょう。
結論としてリフティング性能というのは、高いリフティングパワー遅いリフティングスピード、そしてその連続性という3つの要素から成り立っているのではないかというのが現時点での私の推測です。
つまり「強い力をゆっくりと掛け続ける」事が、魚を浮かせる上でのキー要素になると考えているわけです。

というわけで今回は長~大な前置きになってしまいましたが・・・(苦笑)。
次回はこの内容を踏まえて、ではなぜオールソリッドはリフティング性能が高いのか?という本題に迫ってみたいと思います。

(あ~疲れた・・・w もしこの記事にイイね!と思われましたら、シェア頂けると嬉しいですwww)

 

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関連記事

    • フカ
    • 2018年 8月 06日

    ジャクソンのオールソリッドを愛用しており、興味深く拝見しています
    プログレッシブファスト、フルステップファストなど、呼び名はいろいろありますが、NFCがこうしたアクションが得意でした
    国内では、特にゼナックがこのアクションとリフト性能で印象的です
    ブラッカートが基本的にそうですし、ローディーラーも同様の曲がりです
    超高弾性フィールのB2-63で、竿を曲げているだけでマダコを根から浮かせた時に違和感を覚え、B4-69で水底のソファを引き上げた時からゼナック信者です
    「魚を釣れよ」と言うのが、もっともなところではありますが

    • NFC、ゼナック・・・リフト性能を考えていくと、やはりこうしたブランクに行く着く事が多いのでしょうかね!
      しかしソファとは(笑)。

    • くかみ
    • 2018年 8月 07日

    興味深く読ませていただきました。
    フルソリッドロッドは興味あるんですが、買ったことが無いです。
    ほら。サラリーマンの小遣いではなかなかギャンブル買い物できないw
    ソリッド=魚に違和感を与えにくいとかはよく聞く話ですが、掛けてからのやり取りに不安を感じるんですよ。なんせ使ったこと無いんで。
    魚を掛けてから常時ロッドの反発で力をかけ続けるのはカーボンでもグラスでもソリッドでもチューブラーでも同じなのでしょうが、フルソリッドは一定の力がかかるので魚が違和感無く上がって来やすいんでしょうね。
    ちょっとソリッドに興味わいてきました。(買うかは別として)

    • いつもありがとうございます!フルソリッド、面白いですよ(^^♪

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