1Apr
さて前回、前々回の記事でアンタレスの主な特徴である「ボディ剛性」、「遠投性」について書いてきました。
最後の今回は、細部について見ていきたいと思います。
●内部構造は13メタニウムと酷似
初代アンタレスの頃、「アンタレスの分解は大変」と聞いてビビッていたのですが、いざ分解してみると内部構造は13メタニウムと似ていました。
そのため、分解整備はそれほど難しくないと感じています。
構造上の大きな差は、㉒のボールベアリングの有無くらいでしょうか。
(このパーツがどういう効果をもたらしているかは良く分かりません。誰か教えて下さいw)
●ハイギヤモデルは実質的なエクストラハイギヤ
ギア設定はノーマルギアとハイギアの2種類ですが、ハイギアモデルはハンドル1回転86cmと、一般的なエクストラハイギアモデル並みの巻取り量があります。
これはギア比だけでなく、大径スプールによる影響と思われます。
一方、ノーマルギアモデルは1回転65cmと標準的です。
●SVS∞のブレーキ異音
13メタニウムのインプレでも書きましたが、ブレーキブロックのON/OFFだけでなく、外部ダイヤルでも微調整ができるSVS∞は結構便利だと感じています。
しかしブレーキブロック自体のON/OFFが硬くてやり辛いのと、ブレーキユニットの自重が重くなってしまう点は従来型SVSに対してのデメリットだと思います。
あと、同じブレーキブロック数でも位置関係によってブレーキ力が変わる気がします。
(例えばSVS2個ONだとしても、対角線上の2つをONにするのと隣同士をONにするのではブレーキ力が違う)
ブレーキユニットがオイル切れを起こすと異音が出るのを苦にする方が多いようですが、こまめに注油(数回に1度。雨の後は必ず)する方なのであまり気になったことはありません。
ただ、確かにメンテンナンスフリー性と言う意味ではマイナスかもしれません。
あと、オイル量によってブレーキ力が若干変わります。
●現代としてはヘビー級?のボディサイズ
マグネシウム製とはいえ、225gの重量とボディサイズは、現代ではかなり大きな部類に入ります。
一昔前なら普通(05メタニウムは230gで似たような大きさ)でしょうが、170gの13メタニウムに慣れていると、随分大柄に感じるのは否めません。
しかし7ftオーバーのロングロッドとの組み合わせでは、逆にこれくらい自重があった方がバランスが良いように感じます。
●淡水専用・・・とは言うものの
マグネシウムスプールを使用しているため、カタログ上では淡水専用となっています。
しかし塗装が剥がれていなければ、ソルト使用でも全然問題ないよ・・・と、フィッシングショーで某プロが語っていたという未確認情報もあります。
しかし錆に弱いブラスギアな事もあり、個人的には怖くて海水で使った事はありません。
そういえば浜名湖で使っているアングラーを見た事がありますが、大丈夫だったのでしょうか・・・。
●アフターパーツは少な目
37mm径という特殊なスプール径のためか、アフターパーツはやや少ないように感じます。
知っている限りでは、スプールは準純正?の夢屋深溝スプールと、Availの浅溝スプールくらいしかなかったように思います。
もっと厄介なのがハンドルで、少し形状の違うスタードラグに干渉してしまうため、13メタニウムXG用などのオフセットしたロングハンドルが装着できません。
なのでストレートな形状のハンドルを選択するか、スタードラグを対策品に変更しないとハンドル交換が困難です。
しかしハンドル取り付け部がボディから少し離れた位置にあるため、ストレート形状だとボディから少し遠い位置で巻く必要があるのが、個人的にちょっと微妙です。
▼総括・実売価格1万円強の差はあるのか?
以上をまとめると、12アンタレスは中~重量級ルアーのリトリーブ&ロングキャスト性能を極めたヘビー級ベイトリール、と言えるように思います。
実売価格4万円台前半と高価なリールですが、個人的な感想としては13メタニウムとの違いは確かにある、と言えます。
特に20g以上のルアーでの飛距離や、ディープクランクの巻心地の軽さでは明確な差が感じられるのではないでしょうか。
しかし実売3万円程度のメタニウムとの1万数千円の価格差に見合う性能差があるかという面においては、ちょっと何とも言えません。
差額分をフックやルアーに費やした方が、直接的な釣果に影響するようにも思います。
(全てのリールにおいて言えることかもしれませんが)
カッチリしたフィーリングに惚れ込んでいるので、自分としては使い続けるつもりです。
しかし実釣性能という意味では13メタニウムで充分な気がするのも事実で、巻き心地の快適性や満足感などがもたらす、メンタル面での効果が一番大きいような気もします。
軽量ルアーが使いにくくなるというネガもあるので、人に勧めるならやはりメタニウムの方になるだろうなと思います。
ただ、前述したようにオカッパリで飛距離が決定的に大事な場合などは、ファーストチョイスになり得るのではないでしょうか。
関連記事:【「他に何も要らない」13メタニウム純情物語 – ①】
というわけで、全3回の長文をお読み頂きありがとうございました。
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コメント
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2017年 4月 24日
12アンタレスも14メタも海水での使用の耐久性はほとんど同じくらいでした。
カルコンHGが出てしまったので巻き取りスピードを見ても現状ソルトシーバスに一番適しているリールだと思います。
丸型に抵抗が無ければ・・・ですが。
>浜名湖でアンタレスさん
貴重な情報ありがとうございました!
メタニウムと耐久性は同じくらいなのですね。
カルコンHGはソルトシーバスに良さそうですね・・・丸形に憧れはあっても抵抗は無いので欲しい所ですが、後は値段がネックです(苦笑)。
はじめまして。
アンタレスしか使わんと申します。
12アンタレス22番のベアリングですが、35番のベアリングと共に161番のピニオンギアを支持して回転力と巻き上げ力、ブレを無くすX-SHIPの要的ベアリングのようです。
X-SHIPが搭載されていないリールにはメカニカルブレーキ側に2個のベアリングが搭載されておらず、12アンタレスで言うところの35番ベアリングは無く、22番しか有りません。
まぁ要する、ベアリングでピニオンギアの両側を支持してブレを無くして巻き上げ力を増し、従来のベイトリールのような片側支持+スプール軸にもピニオンギアを支持させるを排したことで回転も良くしましたって構造みたいです。
乱文、申し訳ありませんでした。
>アンタレスしか使わん さん
詳細なコメントありがとうございました!
35番と22番のベアリングの両軸でピニオンギアを支持するのが、S-SHIPの要なのですね。勉強になりました。
スプールを抜いた状態でハンドルを回してもピニオンから音が出ないなと思っていたのですが、スプール軸にピニオンギヤを支持させない構造だから、という事ですね?
何だか気持ちよく納得できた気分です。
これからもご教授よろしくお願いします!