30Sep
(ZPI HP より)
ディープクランクなど、重いルアーを楽に巻くためのリールチューン、「ロングハンドル化」。
果たして高価なパーツに見合った、体感できる効果が出るのでしょうか?
そして一筋縄ではいかない選び方と、その落とし穴についても考えます。
●ディープクランクを楽に巻く方法
昨日の記事はディープクランク用ロッドのお話でした。
続きを書く前に、今回はリールのロングハンドルについて少し触れて見たいと思います。
関連記事:【ストライクマスターだけでは通用しない?ディープクランキンロッドの深い迷宮】
さて、ディープクランクの釣りで最も問題になる「引き抵抗の重さ」。
これをリールによって軽減するには、3つの方法があると考えています。
①リールのギア比(巻取りスピード)を下げてトルクを上げる
②ハンドルを長くして巻上げトルクを上げる
③リールの剛性やギア伝達構造でトルクを上げる
まず①ですが、これが最も確実に巻上げトルクを上げる方法だと思います。
カルカッタコンクエストなどのローギア(ロースピード)リールを使えば、巻き上げのパワーは上がります。
(自転車のギアを下げて乗るのと同じですね)
ただしこれにはデメリットもあって、速く巻く事が難しくなります。
具体的には回収スピードが落ちて手数が減る、ラインテンションが抜けやすくなりバラしやすくなる、超早巻きは難しい、などの問題が生じてきます。
次に②のロングハンドル化ですが、これも①程では無いにせよ大きな効果が期待できます。
もしハンドルの全長が10mmも伸びたなら、それはもう全く別のリールと言ってよいほど巻上げが楽になると思います。
ハンドルの長さくらいで・・・と以前は軽く考えていましたが、確実に体感できると思いますので、未経験の方にはぜひ試して頂きたいです。
ただし、やはりこれも長ければ良いという物でもありません。
長ければ長いほど、巻上げトルク自体は上がり、肘を支点にした巻き方になっていきます。
好みもありますが、ディープクランクなど負荷の大きい巻き物には適しているように感じます。
しかしそれに反比例して、手首だけを使ってコンパクトかつクイックに巻くのが辛くなっていきます。
すると個人的には、カバー撃ちなどの素早い回収がやりにくくなる気がします。
どこが適度なのかは、アングラーの好みや体格に左右される部分が多く、なかなか一概には言えそうにありません。
関連記事:【巻き物用ベイトリール・ロングハンドル体験記】
そして最後の③は、HAGANEボディなどの剛性、またX-SHIPなどのギア伝達効率の向上によってトルクを上げる方法です。
これの最大のメリットは、重量が重くなりがちという以外に目立ったネガが無い事だと思います。
ただし、①や②ほどの劇的な効果は感じられないというのが正直なところではあります。
関連記事:【12アンタレスは必要なのか!?13メタニウムとの比較インプレッション①・剛性編】
という事で以前も少し書きましたが、②のロングハンドルについて感じた事を書いておきます。
●長ければ良い・・・わけでは無い!?
さて、ロングハンドルは理論上、長ければ長いほど巻上げ力は上がるはずです。
(テコの原理と一緒ですね)
というわけで、とりあえず長ければ良いだろう・・・という事で導入したのがこちら。
アルファタックルの「WPカーボンスペアハンドル・センシティブEVA ロングストローク パワータイプ(201S)」。
社外品のハンドルは高価なのがネックなのですが、これだと実売4000円台と格安でした。
しかしこのハンドルを使っていた時、何故か意外とリトリーブが楽にならないように感じました。
何故だろう?と考えて辿り着いたのが、ハンドルノブ周り。
このハンドルに付属のEVAノブ、軸と分離してスポンジが回るような構造になっています。
加えて軸を受ける部分のプラスチックが柔らかく、結果として遊びが多いようなフィーリング。
この辺りの剛性の低さが、巻き上げ力のロスに繋がっているのではと思いました。
(素人考えですので間違っているかもしれませんし、価格を考えれば仕方ないとは思います)
●ZPI・イナーシャ
というわけで2014シーズン中盤、ディープクランク用の12アンタレスのハンドルに、ZPIのロングハンドル「パワーゲームカーボンハンドル イナーシャ 102mm(PG-IN102SH)」を導入しました。
このハンドル、おそらくサードパーティー製としては最大手?のZPI製なので、以前から存在は知っていました。
しかし如何せん価格が高過ぎる・・・と躊躇していたのですが、中途半端なものでは逆に安物買いの銭失いになるかと思い、思い切って購入。
期待は見事に裏切られる事無く、巻き心地のリジッド感は感動するくらい向上しました。
そしてディープクランクを長時間巻いた時の楽さは、はっきりと体感できる違いを感じられました。
もちろん要素としては剛性だけでは無く、100mmと102mmのハンドル長の違いが影響した可能性もあります。
そして売りである、回転慣性の助けが想像以上に効いているのかもしれません。
しかしやはり、精度と剛性は無視できない要素ではないかな・・・と感じた次第です。
たかがハンドルと思いがちですが、各部のバランスや剛性など、なかなかに難しいようです。
ちなみにZPI・イナーシャはハンドルノブ内にベアリングが無く、プラスチックカラーが入っていました。
値段からすると意外だったのですが、アンタレスのノーマルハンドルノブ内のベアリングを無事に移植出来ました。
その意味では、むやみにコストを上げないための配慮なのかもしれません。
▼ロングハンドルは確実に効果あり。ただしチョイスは慎重に!
そんなわけで、ロングハンドル化は確実に巻き上げ力を高めてくれる、というのが私の結論です。
今やこれ無しに、ディープクランキングをする事は考えられません。
しかし今回分かったように、ただ長ければ良いわけではありません。
さらに使用ルアーや体格によっても最適なハンドル長が異なる可能性があり、選び方はなかなか難しいように思います。
というわけで色々試してみる必要があるのですが、社外品だと値段も結構しますので、まずは純正品で長さを変えてみる事をお勧めします。
例えば13メタニウムは、XGのみ標準で96mmのロングハンドルが付いています。
これはHGやノーマルギア、さらには他のリールにもつけられる場合があるので、2500円で手軽に試すことが出来るのです。
(ただし12アンタレスには付きませんでした)
関連記事:【「生粋のジャパニーズ・ベイト」13メタニウム純情物語 – ②】
これを機に、悩ましくも楽しいリールチューンの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
※更新情報と時事ニュースをお届けしますので、ぜひFacebookページへのいいね!& twitterのフォローをよろしくお願いします。
関連記事
コメント
-
2016年 3月 03日
-
2017年 2月 24日
この記事へのコメントはありません。