29Sep
“バンタムの剛性とアンタレスの飛距離、そしてカルカッタの巻き心地”
フルモデルチェンジを果たした20メタニウムは、本当にパーフェクトなのか?
新世代バーサタイルベイトの、実戦能力をレビューします。
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軽量系と剛性系の統合
皆さんこんにちは、ディープストリームのKenD(けんでぃ)です。
さて2020年の新作ベイトリールで、一番の話題をさらったのは何と言っても“20メタニウムMGL”でしょう。
旧作16メタニウムを13メタニウムのマイナーチェンジと考えれば、およそ7年ぶりのフルモデルチェンジと考えることも出来ます。
メタニウム系はシマノ伝統の34mm径スプールを搭載するバーサタイル・ベイトとして、長らく同社の”顔”となってきた基幹モデル。
10~14g前後のルアーをメインとした、最も頻用されるウェイトにマッチした万能機という位置付けです。
そして今回の20モデルでは、「軽量モデルと高剛性モデルの統合」という革新的な変化が起きたと感じます。
その歴史はTOP50の黒田健史選手のyoutubeを参照して頂きたいのですが、メタニウムは2000年代に軽量系と剛性系の2系統に枝分かれしていきました。
剛性系としてはタフさを高めた05メタニウムXTから、そのDNAは18バンタムMGLへと引き継がれていきます。
そしてボディにマグネシウムを採用した計量モデル“メタマグ”の系譜は、07,13,16メタへと繋がるメインストリームとなっていったのでした。
その意味ではマグネシウムボディの20メタニウムは、07メタの流れを組むライトウェイトモデルと位置付けられるかもしれません。
しかし今回のサプライズは、バンタムMGLで採用されたフルメタル一体成型の“コアソリッドボディ”がインストールされているという事。
つまり軽量でありながら高剛性という、枝分かれしていた軽量系と剛性系をひとつに再統合する歴史的なモデルだと思うのです。
(「黒田健氏のいろはにほへと」より。ボディ形状自体は、ほぼバンタムと同一かと思います)
というわけで今回は話題の20メタニウムを、半年近く使い込んできての実使用インプレッションをシェアしてみたいともいます。
フルメタルなのに十分軽い
さてそうした“完全無欠”のマルチモデルである事が、“バンタムの剛性・アンタレスの飛距離・カルカッタの巻き心地“とアナウンスされています。
ベイトリールに求められる要素は「自重」、「トラブルフリー」、「キャスタビリティ」、「巻き上げ力」の4つだと思うのですが・・・。
その全てを高次元でクリアしたという、自信のほどが現れるキャッチコピーではないかと思います。
このうちまず「自重」については、フルメタルボディを採用しながらも175gという先代同様のウェイトが実現されています。
バンタムやアンタレスは重過ぎると感じるアングラーにも、まず不満が出ないであろう軽量設計と言えるでしょう。
逆に私のように7ft以上のロングロッドを多用する場合には、少々軽過ぎると思えるくらいです。
それからブレーキシステムについては、外部調整可能な遠心ブレーキ”SVS∞(インフィニティ)”を踏襲。
外部ダイヤルで大幅な調整が可能な上、遠心独特の“最後のひと伸び”が気持ちよく味わえます。
トラブルフリー性能ではマグブレーキに一歩譲りますが、メカニカルを上手く併用すれば何の問題も無いように感じられます。
(ブレーキ設定がピーキーと感じる方は、ぜひこちらの記事をご覧ください↓)
アンタレスに勝るとも劣らないキャスタビリティ
次に気になるのは「キャスタビリティ」ですが、これは掛け値なしに19アンタレスに負けていないと感じました。
19アンタレスで話題となった34mm径のMGLⅢスプールは、意表を突くナロー化により大幅なスプールレスポンスの向上を実現。
軽量ルアーやテクニカルキャストで明らかに使いやすくなりましたが、同じスプールか?と思うほどメタニウムも同様のフィーリングでした。
(16メタニウムに比べ、誰でも分かるくらい進歩していると思います)
ただしナロースプールは、重量ルアーの超遠投で若干不利になるのでは?という意見も散見されますが・・・。
19アンタレスの記事でも書きましたが、「実用上、遠投性能はほとんど差が無い」というのが実使用での感想です。
あと数メートルでも飛ばしたいという状況であれば、37mm径のアンタレスDC系を選ぶべきではないでしょうか。
(私はエクスセンスDCを使っていますが、確かにこれ系は遠投に有利です)
そんなわけでキャスタビリティに関して言えば、「もはや19アンタレスは要らない」と言っても過言ではないと感じました。
もちろんフラッグシップだけが持つ所有感やリセールバリューなど、アンタレスの存在意義を否定するわけではないのですが・・・。
魚を釣るための道具という実用性に限って言えば、より安価な20メタで十分というのが私の意見です。
コンクエスト不要の巻き上げ力
最後に「ボディ剛性」についてですが、そもそもなぜリールに剛性が必要かと言うと“巻き上げトルク”を高めるためです。
この話をすると、毎回「リール同士をぶつけ合うのではないのだから剛性はさほど必要ない」という指摘を頂くのですが・・・。
ボディがたわむとギヤの噛み合わせが悪くなるなどして、リーリングパワーの伝達ロスが大きくなってしまいます。
イメージ的には100の力で巻いても70しか伝わらないといった感じで、これが90%伝わるリールに比べると巻いた時の疲れが違うというわけです。
正直撃つ釣りやライトリグでは必要性が薄いでしょうが、引き抵抗の強い巻き物を使う際には非常に重要だと思っています。
(アルデバランでマグナムクランクを巻いたりしたら、ホント腕が上がらなくなるかと。。。)
しかもメインギヤにはアンタレスやコンクエスト等と同様“ブラスギヤ“が採用され、耐久性と巻き心地の改善に大きく寄与していると思われます。
16メタまでは軽さを重視してジュラルミンギヤだったわけですが、18バンタムと共用の真鍮素材となりました。
逆に言えば重いブラスギヤをインストールしてもなお、先代同様の軽さを実現しているという点は驚異という他ありません。
そして20メタニウムが18バンタムやコンクエスト同様の巻き上げ力を実現しているかというと、「さすがに同等ではない」というのが率直な感想。
北湖のディープで10XDを巻いてみると、やはりほんの少し剛性的には劣ると感じられました。
しかし両者を同時に使い比べてようやく分かるという程度のもので、16メタよりは遥かにバンタムに近い剛性感だと思います。
ハッキリ言ってバスフィッシングでの実用性は十分で、もはや巻き剛性を求めてコンクエストやバンタムを買う必要はなくなってしまったように思います。
(もちろん重さやコストを許容できるなら、買っても何の問題もありませんが)
バーサタイル・ベイトの終着点
そんなわけで20メタニウムは宣伝通り、軽くて強くて投げやすいというほとんど完璧なリールでした。
19アンタレスのインプレ記事で「バーサタイル・ベイトの終着点」と書きましたが、価格も考えれば20メタは完全無欠と言えるでしょう。
撃つしても巻くにしても、オールラウンド系ベイトリールは20メタニウム以外必要ないと言っても過言ではないと思います。
PEラインを使った1ozビフテキのパンチングからフロロ10ポンドのネコリグ、ヘビダン。全てメタニウムになりました
今年の春までは、SLX MGL、スコーピオン71XGも使ってましたが、アメリカでのワーミングはメタ落ち着きました。これ超えるリールが出るのか疑問ですが、シマノって数年後出るから怖い笑 pic.twitter.com/BtDShMuZyz— Takumi Ito 伊藤巧 (@takumi_no_oheya) September 6, 2020
(いやぁ・・・少なくとも「大幅に」超えるモノは当分出てこない気が・・・)
ですから使い分けとしてはベイトフィネス用にアルデバランBFS、超遠投&20lb以上の太糸用にアンタレスDCがあればラインナップはほぼ完成。
極端な話、シマノのバス・ベイトはこの3機種だけで(実用上は)成立するのではないかと思います。
とはいえ廉価版は必要でしょうから、32mm径(ライトウェイト用)にSLX、34mm径(バーサタイル用)にスコーピオンあたりを用意しておけば他のモデルはもう要らない気も・・・。
あとは実用性を超越した存在として、コンクエストを加えた6機種くらいがあれば十分ではないかと思えてきてしまいます。
(ベイトフィネスをやるなら、16アルデバランBFSは必須かと・・・)
というわけでほぼ欠点の見当たらない20メタニウムは、もはやバーサタイルモデルのリーサルウェポンと言っても過言ではないでしょう。
逆に言えば飛躍的な進歩を遂げてきたリールの世界も、そろそろ技術革新は頭打ちかなのかもしれません。
機械的な進化という意味では、20メタはバス用ベイトの終着点として記憶されることになる気がします。
(あるとすれば、パーフェクトクラッチオフシステムくらいではないかと思いますがいかがでしょう・・・)
しかし、かといって私が手持ちのバンタムを20メタに総入れ替えするという事は決してありません。
むしろ買わないどころか、レビュー用に買った手元の一台も売ってしまおうかと思っているくらいです。
というわけで次回は20メタを使わない理由と、新しい時代の流れについて書いてみたいと思います。
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コメント
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20メタニウムは素晴らしいですよね。
ただバーサタイルという言葉には引っ掛かります。
たかが言葉じりなので個人差があるのは事実。
私がひっかかっているのは、春の爆風にSVSの汎用性には疑問が残る点と、巻き心地が良すぎて逆にピークの寿命の短さが気になります。
その点を考慮するとマグの機種になったり自由に部品交換が可能なRevoになるんですよね。
Revoに至っては100円ショップからマグネットを購入してブレーキ強化まで出来てしまう。
ギア交換の互換性が高いのでダイワ製品よりも優れている面もあろうかと思います。
個人の基準の差があるから釣り道具も様々な所が面白い所なんですけどね。
確かに爆風時の逆風キャストなど、マグ系の方がトラブルフリー性は高いですよね!
ギヤに関しては次回触れてみたいと思います(^^♪