7Sep
(上州屋さんHPより)
フィネスからヘビーゲームまでマルチに対応する万能ベイト、13メタニウム。
「他に何も要らない」とまで惚れ込むこのリール・・・本当に完全無欠なのか?
今回は、欠点も含めたディープなインプレッションをお届けします。
前回記事:【「他に何も要らない」13メタニウム純情物語 – ①】
●14lb-100mの控えめなラインキャパシティ
ラインキャパシティは14lb(3.5号)-100mと、一昔前のベイトリールに比べ控えめになっています。
これはベイトフィネスの普及によって、スプールに巻いたライン量が多く、重いと軽量ルアーを投げにくい・・・という知識が一般化したことで、ラインキャパを絞るトレンドにある事が関係していると思います。
ただ、16lbで85m、20lbで70m巻けるとの事ですので、一般的には十分なラインキャパシティと言えるのではないでしょうか。
(ただし、この数値一杯まで巻くとバックラッシュしやすくなるので要注意です。9割くらいまでにとどめておくのが無難?)
しかしオカッパリ遠投命の方や、ヘビー系の釣りが好きな方には、糸巻き量が少ない・・・と感じられるかもしれません。
そんな時のために、オプションで16lb-100mが巻ける深溝スプール(SVS込み12.6g)がオプションでラインナップされています。
これなら20lb-75mは実用的に巻けると思われますので、太糸を使いたい場合は嬉しい選択肢だと思います。
(シマノ公式HPより)
前回、浅溝シャロースプール(9.7g)をご紹介しましたが、この辺りのアフターパーツの多さも魅力的ですね。
※ちなみにノーマルスプールはSVS込みで12.6gあり、12.1gだった05メタニウムよりも若干重くなっています。
どうやら新開発のSVS∞のユニット重量が重いらしく、スプール単体では10.3gと、13メタニウムの方が若干軽いようです。
(05メタニウムのスプール単体重量は11gくらい)
関連記事:【【永久保存版】スプール重量一覧表と、ベイトリールセッティングの秘訣】
●微調整を可能にしたSVSインフィニティ。
13メタニウムには新たなブレーキシステム、「SVS∞」(インフィニティ)が搭載されています。
この最大のメリットは、外部ダイヤルで微調整可能という点にあると思います。
個人的にはマグネットより遠心ブレーキのフィーリングが好きなのですが、ブレーキブロックのON/OFFが面倒なのは正直なところです。
また、調節の段階がもうちょっと細かく出来たら・・・とも感じていましたので、まさに痒い所に手が届く感じ。
風の強弱に素早く対応できるようになり、非常に快適になりました。
ただしこの外部ダイヤル調整、あくまで微調節に過ぎない点には注意が必要です。
ダイヤルだけで、向かい風から追い風まで対応できる・・・とまでは期待しない方が良いと思います。
しかしこの新ブレーキブロック、個体差かもしれませんが操作が硬くて非常にやり辛いのが難点です。
それからONにするブレーキブロックの数だけでなく、その位置の組み合わせでもブレーキ力が変わるような気がするのは、私だけでしょうか???
(例えばブレーキブロックを2個ONにするとしても、対角線上にある2個をONにするか、隣り合った2個をONにするかで若干の違いが出る・・・ような気が)
詳しい方がいらっしゃれば是非教えて下さい!
また、サイドハッチが着脱式なので、ブレーキ調節時にサイドプレートを落としそうになります。
個人的には、これが最も残念な点。
これは他のモデル同様に、脱落防止機構を備えて欲しかったのが本音です。
また上述したように、SVSユニットの自重が増えてしまった点も、ちょっとしたネガ要素だと思います。
●クレーム続出の異音トラブル?
さてネット上のインプレッションを見ると、13メタニウムは「ブレーキの異音がひどい」という苦情が散見されます。
最初は全く何の事か分からなかったのですが、使い続けているうちに、ある日キャスト時にひどい異音と振動がするようになりました。
これの事か!とビックリして説明書を見ると、ブレーキ部に1滴オイルを差すように書かれています。
その通りにオイルを差してみると、一発で何事も無かったかのように静かになりました。
5回に1回くらいは注油した方が良い・・・との事です。
説明書はちゃんと読んだ方が良いなと反省した次第です(笑)。
※メンテナンスの参考までに・・・↓
ただし、オイル量によってブレーキの利き具合が変化するので、差し過ぎには注意が必要です。
個人的にはそれほどネガに感じませんが、オイル管理が面倒と言われれば、確かにそうかもしれません。
●ハンドル長はXGモデルのみ96mmロングハンドル
ハンドル長はノーマルギヤ、ハイギヤともに84mm(シマノ風に表現すると42mm)ですが、XGのみ96mm(同48mm)のロングハンドルが設定されています。
このXG用ハンドル、部品のみ(133番)で取り寄せる事も出来るため、たった2500円でロングハンドル化する事ができ非常にお手軽。
ノーマルギア、ハイギアモデルも所持していますが、全てこのXG用ロングハンドルに交換済みです。
社外品などで経験済みの方はご存知かと思いますが、ロングハンドル化は明らかに体感できるほど、巻上げが楽になると思います。
ハイギヤ + ロングハンドルのセッティングは好みが分かれるようですが、個人的には非常にお勧めです。
●ソルト使用時の防錆性能は向上(05メタニウム比)
自分が溺愛していた05メタニウムを手放した最大の理由、それは「ソルト使用時の錆」でした。
かなりマメにメンテナンスをしたつもりなのですが、キャスコンとピニオンを支持しているベアリング、そしてローラーベアリングが錆びるわ錆びるわ。
3回までは交換修理しましたが、ついに諦めました・・・。
(正直、シマノのAR-Bはあまり錆に強くないと思います)
そこで13メタニウムはどうだったのか?というと、「マメにメンテをすれば」とりあえず1シーズン使い込んでも錆は発生しませんでした。
で、どれくらいメンテをしたのか?というと、使用後は複数方向からシャワーで洗い流し、その後スプールとキャスコン(メカニカルブレーキノブ)を外して日陰干し。
その後、スプール両端のベアリングとピニオンにオイル注油・・・というのを毎回やっていました。
基本メンテナンス通りなので簡単ではありますが、まぁ面倒と言えば面倒です。
ここまでやらなくても大丈夫なのかもしれませんが、ベイトリールの構造上、内部には必ず水が浸入するので、少なくとも乾燥だけはしっかり実施した方が良いように思います。
そしてシーズン終了後に分解OHしてみたのですが、各パーツにひどい錆は発生していませんでした。
個人的には、これくらいの防錆性能があれば、ソルトで常用する際にも実用的かな・・・と思います。
関連記事:【【ソルト使用】13メタニウム分解オーバーホールの結果は・・・!】
ただし注意点として、メインギアのグリスアップをマメにした方が良いと思います。
構造上、ボディ内部の水が抜けやすい構造になっており、そのために防錆性能がUPしたと思われるのですが・・・
これは裏を返せば、中に水が浸入しやすいという事でもあります。
使用後にシャワーを掛けてから分解してみると、見事なまでに中に水が入りまくっています。
それによって塩を抜くから良いのですが、一緒にグリスも流れ出してしまうのは避けられません。
そんなわけで、数か月も使用すると巻上げ時のゴリゴリ感が出てきてしまうように思います。
ただしメイン&ピニオンギアをちょっとグリスアップするだけで劇的に改善しますので、ギア摩耗というより単にグリス切れなのだと考えています。
まあ、やはりソルトで使うのはある程度面倒がつきものという事でしょうか・・・。
※ちなみにメインギアのグリスはデュラエース↓がお勧めです。
参考記事:【リール用グリス(シマノ・デュラエース)】
▼何にでも使いやすい、オールマイティーなMYベストリール
というわけで、巻くにも撃つにも、ロングキャストにもピッチングにも、軽量ルアーから重量ルアーまで、まさに万能の13メタニウム。
細かい欠点はあるものの、自分にとって現時点でのベストリールである事は間違いないとの結論に達しています。
もちろん、1つの性能に特化したリールには及ばない点も多々あります。
例えば3/4oz以上のルアーをロングキャストするなら、その究極はアンタレスでしょう。
マグナムサイズのクランクを巻き倒すなら、カルカッタコンクエストに勝るものは無いと思います。
5g以下のライトリグで、ガチのベイトフィネスをするならアルデバラン(BFS)以外に選択肢は考えられません。
(以上、シマノで選ぶなら)
しかしそうした尖ったリールは、一方で応用が効きません。
用途別に何台もの専用リールを持つのが理想でしょうが、アマチュアアングラーにはコスト的に厳しい面があります。
(オーバーホールなどのメンテナンス代だけでも馬鹿になりませんので・・・)
その意味で、メタニウムならどんな釣りにも幅広く対応できます。
ちょっとしたベイトフィネスから、フロッグ・パンチングなどのハードゲーム。
重いルアーの遠投性能もそこそこですし、ディープクランクを巻くだけのトルクもあります。
太糸を巻くオプションもあれば、ソルトでの使用にも耐えてくれる・・・
1つ1つの要素を考えれば、80点主義かもしれません。
しかしこれほどまでにオールマイティーなベイトリールが、他に存在するでしょうか???
最近のシマノはエントリーモデルとして、クラドなどアメリカでのスタンダードモデルを積極的に日本導入しています。
しかし重量級ルアーを前提とした20lb-100mの大型モデルを、そのまま日本でもスタンダードとするのは難しいように思えてなりません。
関連記事:【ところで、シティカとクラドとスコーピオンは何が違うわけ?】
その意味で、3/8-1/2oz前後のルアーを中心とし、日本のフィールド環境のど真ん中を突いた、
「日本の、日本のメーカーによる、日本のアングラーためのスタンダードベイト」。
それこそが13メタニウムなのです・・・!と、居間の中心でメタニウム愛を叫ばせて頂いたところで、そろそろ筆をおきたいと思います。
それでは皆様、ディープでマニアックな長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。
何かご質問・ご意見があれば気軽にコメント下さい!
それでは、良い釣りを・・・
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コメント
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はじめまして!最近HGを購入したのですが、XGハンドルの購入を考えております。
で、ノブも違いますが、ノブも同時交換がオススメですか?触った感想など教えてください。よろしくお願いします。
>だるまさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、確かにノブの形状も少し違います。ただ、あまり大きな差とは感じていないので私はそのまま使っています。
もしご不便を感じるようなら、社外品などを検討した方が違いを感じられるかと思います♪
ありがとうございます!自分もノブそのままでハンドルのみ交換します!